カジュアル面談を活用して納得できる評価制度を持つ企業へ転職

目次

Introduction

より良いキャリアを目指したり、交際や結婚・出産など様々なライフイベントの発生により将来のことをこれまで以上に真剣に考える時期に当たり、転職入社後、自分の努力が良い評価に結びつき、きちんと昇給していけるのかとても気になるところです。

最近では転職クチコミサイト等で評価や年収についての情報も公開されてる場合がありますが、それらの情報は退職者のネガティブなバイアスがかかってる可能性があったり、あくまで従業員視点での感想が述べられているため、評価者つまりCTOやマネージャーの意見を正確に反映したものではなく、あくまで参考情報として捉える方が無難でしょう。

転職前に評価や給与の決定権を持っているCTOやマネージャー、さらには現場エンジニアの意見を直接聞くための一つの手段としてカジュアル面談があります。

カジュアル面談が実施できれば、評価基準や昇給の実態について具体的に質問することができます。しかし、カジュアル面談にどの様に辿り着けば良いでしょうか。

この記事では、一つの方法として転職エージェントを活用してカジュアル面談の機会を企業側に探ってもらうということを説明していきます。

初めに次のセクションでは評価制度を知る難しさについて見てみたいと思います。

評価制度を知る難しさ

転職活動において、転職希望先の評価制度や昇給カーブを事前にある程度知りたいと思うでしょう。

キャリアの中盤に差し掛かるITエンジニアは、今後のキャリアを考えたり、現時点で交際や結婚・出産などのライフイベントで生活環境が大きく変わったりするタイミングに差し掛かる人が多く、現在の収入に対する不安があればそれを解消したいという動機が高まってきます。このような背景を持つ人は、転職で失敗しないために、転職先の企業が提供する給与体系や昇給の機会について事前に詳細な情報を得たいと望みます。

しかしながら評価制度や昇給カーブに関する情報を得ることは容易ではありません。

多くの企業は、具体的な給与の数値や昇給の条件を表に公開していないことが一般的です。また企業によってはパフォーマンスベースでの給与増加、賞与の支給基準、非金銭的な報酬(例えば、ストックオプションや勤務条件の柔軟性)など、給与以外の要素も重要な検討事項となります。これらの詳細は公式な求人情報や企業のウェブサイトだけでは把握しにくいため、実際にその企業で働き始めてみないと完全な給与体系や昇給の実態を理解することが困難です。内定が出て条件面談でも、評価や昇給についてはこうすればこうなる的なかっちりした説明がない、そもそもできない場合が多く、それでも内定を受け取るか決めることが求められます。

その結果、転職して期待していたよりも昇給幅が小さいとか、評価が期待していたよりも高い評価を得られない、というリスクを避けることが難しいです。

これは特に、持続的な収入増加を望むプロフェッショナルにとって大きな懸念事項です。

給与体系や昇給基準を事前に知ることは、自分自身の市場価値を正確に評価する上でも重要です。自分のスキルセット、経験、そして業界内での需要を考慮した上で、適正な給与レンジを理解することは、転職活動を成功に導くための鍵となります。しかし、これらの情報が不透明であるために、適切な転職先を見つけることが一層難しくなっています。

では転職活動において、企業の内部的な情報である評価制度や昇給についてある程度正確な情報を得るためにはどうしたら良いでしょうか。一つの手段として、カジュアル面談を利用することが考えられます。

では次のセクションでカジュアル面談の活用について見ていきたいと思います。

カジュアル面談を活用して評価条件を探る

カジュアル面談の利用は、転職活動中の潜在的な不安を払拭し、より明確で安心感のあるキャリア移行を実現するための重要な戦略です。この種の面談は、フォーマルな面接の圧迫感がなく、企業の人事担当者、CTO、現場エンジニアとリラックスした環境で会話をすることができます。このような状況では、企業の文化、給与体系、昇給の基準、そしてキャリア成長の機会について、より深く、かつ実際的な情報を収集することが可能です。

特に、給与体系や昇給の基準に関する透明性は、転職を考える上での大きな懸念事項となります。カジュアル面談を活用することで、転職希望者はこれらの要素について直接質問する機会を持つことができます。たとえば、

  • 給与がどのように決定されるのか
  • 昇給の基準、頻度、昇給幅は何か
  • どのような振る舞いが評価されやすいのか
  • 成果を上げた際の報酬体系にはどのようなものがある

といった具体的な質問を通じて、給与や報酬に関する企業の方針を理解することができます。

さらにカジュアル面談ではキャリアアップの機会についても掘り下げることが可能です。転職希望者は企業が従業員のスキルアップやキャリア成長をどのように支援しているか、具体的な例(例えば、研修プログラム、メンターシップ、プロジェクトの機会など)を直接聞くことで、自分が成長し続けることができる環境かどうか評価することができます。

このプロセスを通じて、転職希望者は企業の内部文化や値段設定について、公式な求人情報だけでは得られない深い理解を得ることができます。また、カジュアル面談は双方向のコミュニケーションを促進するため、企業側も面談を通じて候補者の人柄や価値観、キャリアに対する意欲をより深く知ることができます。これにより、双方にとって最適なマッチングが実現しやすくなります。

このようにカジュアル面談は転職を検討する際に直面する不確実性を軽減し、より納得感のある決断を下すための有効な手段です。給与体系や昇給基準、キャリアアップの機会についての透明性を高めることで、転職後の不安を減らし、自分自身のキャリアと生活の質を向上させる企業を見つけ出すことができます。

ではどうやってカジュアル面談を設けてくれる会社を見つけることができるでしょうか。次のセクションでこの点について見ていきたいと思います。

カジュアル面談を開催してくれるそうな会社の見つけ方

カジュアル面談を提供してくれる企業を見つけ出すプロセスは、転職活動において非常に重要です。このアプローチにより、求職者はよりリラックスした環境で企業の文化や仕事内容、給与体系について深く理解することができます。では、これらの貴重なカジュアル面談の機会をどのように見つけることができるのでしょうか。以下に、具体的な方法をいくつか紹介します。

求人サイトの活用

最初のステップとして求人サイトやビジネス系SNSを利用する方法があります。これらのサイトでは企業が求職者とのカジュアル面談を提供していることを呼びかけている場合があります。特に、スタートアップやベンチャー企業はカジュアル面談を通じて候補者とのフィット感を探ることを好む傾向にあります。

ネットワークや人脈の活用

次に、自分のネットワークを活用することも非常に効果的です。SNS、ミートアップイベント、技術系カンファレンス等は、企業の人事担当者や現在その企業で働いているエンジニアと直接接触する絶好の機会を提供します。これらの接触を通じてカジュアル面談の可能性について話題を持ちかけることができます。また、既存の接続を通じて紹介を求めることも、信頼性の高い方法です。友人や以前の同僚、業界内の知人があなたを企業の人事担当者や部門の責任者に紹介してくれることでカジュアル面談への道が開かれることがあります。

求人系イベントの活用

求人イベントでは多くの企業が一堂に会し、求職者と直接会話をする機会を提供します。これらのイベントはカジュアル面談を求める企業と直接対話し、興味を持った職種や業界について質問する絶好の場です。イベントに参加する際は、自己紹介と共に、なぜその企業に興味があるのか、どのように価値を提供できるのかを簡潔に説明できるように準備しておくと良いでしょう。

転職エージェントからカジュアル面談の機会を打診してもらう

一般的なスタートアップやベンチャー企業に比べ、人気企業は黙っていても人がやってくるため、積極的にカジュアル面談を用意してないかもしれません。しかし、昨今はエンジニアの需要が非常に高まっているため、その様な人気企業でもカジュアル面談の可能性は否定できません。

自分から人気企業に繋ぐ経路がなければ転職エージェントからカジュアル面談の可否を打診してもらうという手も考えられます。これについては次のセクションでもう詳しく見ていきましょう。

転職エージェントを活用してカジュアル面談の機会を探る

これまでに見てきたようにカジュアル面談にたどり着くパスはいくつか可能性があります。しかし、自分の興味がある転職先企業にカジュアル面談を依頼できるほどのコネクションを作れるかは自明ではありません。むしろ難しい場合が多いのではないでしょうか。

とはいえよりリアルな評価基準や昇給制度について情報を事前に聞いておきたいものです。この様な状況で転職エージェントを利用することは一つの有効な手段です。転職エージェントは、単に求人情報を提供するだけでなく、あなたのキャリアの目標や給与希望を深く理解し、それにマッチする企業を見つける役割を果たします。自分からはアプローチしにくいカジュアル面談の打診をしてもらえるかヒアリングしてもらうことをお願いすることもできます。

まず最初に転職エージェントの理解を促すため、一般的に転職エージェントが提供するサービスを以下に整理します。その次に転職エージェント経由のカジュアル面談について詳しく見ていきます。

本節の最後では転職エージェント活用の実際をさらに知りたい方のための記事もご紹介しています。

  1. 業界や企業の情報提供: 転職エージェントは業界の最新トレンドや企業側のニーズを把握しています。また応募企業へ他の候補者の採用経験から、どのようなタイプだと採用されやすいかも知っています。それらを背景に、スタートアップやベンチャー企業での勤務経験の価値を理解し、最大化できると考えられる業界や企業の情報を提供してくれます。
  2. キャリアアドバイス: スタートアップやベンチャー企業での多岐にわたる経験を持つエンジニアにとって、自身の経験を応募先企業にどのように価値あるものとして提示するかは重要な課題です。転職エージェントは、これらの経験を効果的にアピールする方法や、キャリア目標を実現するための戦略を提供します。
  3. 面接事前準備のサポート: 履歴書や職務経歴書の作成アドバイスまたは作成ツールの提供。場合によっては面接練習の提供を行います。
  4. カジュアル面談の打診: 面接前に実際の働く環境を知りたいと思うのは自然なことです。一般的にカジュアル面談の機会を公に提供していない企業が多いですが、企業から応募者に対してある程度の魅力があると見込まれる場合、頼めば実施してくれるという企業はあります。この面談の依頼を転職エージェントから行ってもらうようにお願いすることができます。
  5. 面接予定調整のサポート: 企業側とのスケジュール調整のやりとりを行ってくれます。特に、複数の企業を同時平行で受ける場合の複雑な調整を整理してくれます。
  6. 面接への同席: 必ずしも実施されるわけではないですが、転職エージェントの方から面接の同伴を提案されることがあります。応募先企業から応募者が高く評価され、初回から最終面接で重役が出てくるなど高い期待がある場合に発生するケースがあります。また実施される保証はありませんが、面接同伴の可能性を応募者本人から転職エージェントに打診することも可能です。
  7. 年収交渉のサポート: エンジニアとしてのスキルと経験を正当に評価してもらい、望む報酬を実現するには、効果的な交渉が必要です。転職エージェントは、市場の平均給与データに基づいた交渉をサポートし、エンジニアが適正な報酬を得られるように助けます。
  8. 退職プロセスのアドバイス: 転職エージェントによっては退職に関するアドバイス提供してくれる場合があります。あくまで退職作業を実行するのは本人ですが、退職プロセスの中で発生する強い引き留めなどで困ったことが発生した場合に対応方法をアドバスしてくれます。

ではカジュアル面談について詳しく見ていきましょう。

カジュアル面談の機会

転職エージェントによっては、こちら側から希望しなくてもカジュアル面談の予定をセットしてくれる場合があります。そうでなくても、カジュアル面談の可否のヒアリングをこちらからお願いすることはできます。カジュアル面談がしたいと思うなら躊躇せずに転職エージェントに聞いてみましょう。

ヒアリングしてもらう時には誰と話がしたいか具体的に指示した方が良いでしょう。ITエンジニアの場合、人事と話しても採用の一般的なことしか聞き出せない可能性があり欲しい情報が引き出せない可能性があります。そこで是非とも現場のCTO、上司になる可能性のあるマネージャー、入社したら同僚になりうる現場エンジニアに話ができないか打診してもらうのが良いでしょう。むしろこの依頼を受けてくれないエージェントは自分との相性が悪いかもしれないので、継続的な関係を維持するか再考した方が良いかもしれません。

CTOやマネージャーは評価や昇給の決定の権限を持っているので、欲しい具体的な情報を引きだせる可能性が高いです。逆に、このポジションにいる人なのに情報を出してくれないまたは人事が話そうな画一的な情報のみ話す場合、企業があまりオープンではないまたは官僚的カルチャーであるかもしれないため、転職先にある程度オープンな社風を求めるならば、その企業への応募は、他の質問への返答と比較し、慎重に考えた方が良いかもしれません。

同様のことは現場のエンジニアとのカジュアル面談内容にもいえます。ありきたりな返答や具体的な言明を避ける場合、面談に呼ばれた本人が実はあまり企業カルチャーにマッチして働けてないか、責任回避型の気質なのかもしれず、いずれにせよその様な人が同僚として一緒に働けるのか、しっかり判断することが必要になります。

CTOやマネージャーに比較して現場のエンジニアとカジュアル面談することのメリットは、評価を受ける側の実際の情報を知ることができることです。また、日々技術に触れていることから、どの様な技術的な志向性を持った人たちが、どの様な技術を活用しながら働いて活躍しているのか読み取ることができます。転職前に評価について従業員側から知るとともに、入社後に活躍していけるかイメージを掴むのに有益な情報となるでしょう。

先方の負担の程度もありますが、カジュアル面談は複数回行われることもあります。例えば、CTOと現場エンジニアと別々に会うケースです。また同時にCTO/マネージャーと現場エンジニアとカジュアル面談になることもあり得ます。あとで後悔しないためにも、一度は転職エージェントに必要な人に出てもらえないかヒアリングしてもらうのが良いでしょう。

以上見てきたように、カジュアル面談は自分が転職先で活躍しどのように評価されるのか事前に知るための貴重な機会です。後で後悔しないためにも、転職エージェントのサポートを得てカジュアル面談の機会をしっかり探りましょう。

より詳しく転職エージェントを活用した転職活動について知りたい方は次の記事を読んでみてください。私が実際に転職エージェントを活用した体験をお話ししています。


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