職務経歴書は履歴書と同じく最も重要な提出書類の一つです。採用担当者は職務経歴書から、応募者が自社の該当職種に必要な経験やスキルを十分に持っているのか読み取ろうとします。その上で自社にマッチしそうであれば面接に通すと判断することになります。
職務経歴書が読みにくかったり、採用担当者が欲しいと思っている情報が足りなかったりすることでせっかくの面接のチャンスを逃してしまう恐れがあります。
本記事では職務経歴書の作り方を説明していきます。まず最初は次のセクションで採用担当者が読みたい職務経歴書について考えてみたいと思います。
採用担当者、とりわけ技術部門の採用担当者は、職務経歴書を通じて応募者の具体的な技術経験やチームでの役割、そしてその経験が自社のプロジェクトや業務にどのように貢献できるかを判断しようとします。
このプロセスでは、応募者がこれまでに関わってきたプロジェクトの規模、使用した技術、担った役割、達成した成果、そしてそれらの経験が現在応募している職位の要件とどのように一致しているかを詳細に知ることが重要です。
ITエンジニアは社会人経験をある程度重ね、関わってきたタスクやプロジェクトも多いと思われます。このため整理せず情報を羅列しただけだと視覚的に情報に圧迫され、担当者は読む気を失いかねません。読んだとしても時間がかかり、本当に見て欲しい情報に辿り着けなかったり、見落とす可能性が高まります。
理想的な職務経歴書は、単に過去の職務を列挙するのではなく、各経験が応募者自身のスキルセット、問題解決能力、そして技術的洞察力をどのように発展させたかを具体的に示すものです。例えば、あるプロジェクトでの役割を述べる際には、単に「開発者」と記載するのではなく、「クロスファンクショナルチームの一員として、フロントエンド開発を担当し、ReactとReduxを使用してユーザーインターフェースを改善、これにより顧客のエンゲージメントが20%向上した」といった形で、使用した技術、担った役割、チーム内でのポジショニング、そしてその成果を明確に記述します。
さらに、チームでの作業やコラボレーションに関する経験も詳細に述べることが求められます。これには、アジャイル開発プロセスへの参加、チーム内でのコミュニケーションや問題解決のアプローチ、プロジェクトマネジメントツールの使用経験などが含まれます。このような情報は、応募者がチーム環境で効果的に機能し、貢献できるかどうかを採用担当者に伝えます。
最後に、職務経歴書には、技術的スキルやプロジェクト経験だけでなく、その経験がいかにして応募者のキャリア目標や自社の目指す方向性と一致するかを示すビジョンも含めることが重要です。応募者が持つ熱意、学習意欲、そして業界に対する見識を反映させることで、単なるスキルの羅列を超えた、真のポテンシャルを採用担当者に示すことができます。
採用担当者が読みたい職務経歴書は、応募者がこれまでに積み重ねてきた経験が具体的かつ明確に記載され、その経験が応募している職位の要件とどのようにマッチするかを理解しやすい形で伝えられているものです。これは、技術系の候補者にとって、自己のスキルと経験を最大限にアピールする絶好の機会となります。
以降では具体的な例を示しながら職務経歴書の各項目を説明していきます。
まず最初に先の話の準備のために次のセクションで典型的な職務経歴書のフォーマットを確認します。
細かなバリエーションはありますが、ソフトウェア・ITエンジニアの職務経歴書のフォーマットは大体決まっています。典型的なフォーマットは職務経歴書には次の大項目が並びます(配置はまちまち)。
上記リストの職務経歴以外の項目は、採用担当者が一瞥して職務経験の概要を把握できるようにするために記載します。職務敬礼自体は膨大な情報量なので、職務要約でいつ頃に何をやったのか簡潔にまとめます。活かせる経験・知識、スキルレベル、資格は箇条書きやリスト化して見やすく書きます。もちろん後半に書く職務経歴と矛盾しない様に書きます。自己PRに関しては履歴書の自己PRと矛盾しないように書きます(若干履歴書より詳しく書いても良いでしょう)。職務経歴の項目ではプロジェクト単位で目的・成果・役割など必要項目を書いていきます。必要項目の例としては これまでのキャリアの棚卸し の キャリアの棚卸しリストの項目例 の項目1から8までの項目が考えられます。直近の履歴から降順で書かれている方が見やすいです。
本記事では職務経歴の書き方に焦点を当てていきます。自己PRと職務経歴以外の項目は職務経歴がまとまれば自然と書けるからです。自己PRについては 履歴書の準備 の 自己PR で紹介しています。
普段から定期的に自分のキャリアの振り返りを行い、取り組み内容をすぐ書き出せる方はこのまま先へ進んでください。もしそうでなければ、こちらの記事を読んでからこの後の文章を読むことをおすすめします。
では、まず次のセクションで何をやってどのような成果に達したのかについてどう書くべきか説明します。
職務経歴書において、あなたの業務内容と達成した成果を記述する際は、具体性と簡潔さが鍵です。ここでは、ソフトウェアエンジニアとしてのあなたの経験を、機械学習システムの開発を例にとって、より詳細に説明します。
三つの項目、プロジェクトの背景と目標、プロジェクトの実施、達成した成果に分けてまとめます。それぞれは キャリアの棚卸しリストの項目例 の項目3、5、4が該当しています。
このように、あなたの職務経歴書では、プロジェクトの具体的な実施フェーズ、技術的な成果、そしてそれがビジネスに与えた実際の影響を明確に示すことが求められます。これにより、応募先企業の採用担当者に対して、あなたのスキルと経験がどのように企業の価値に貢献できるかを効果的に伝えることができます。
続いて次のセクションでは使った技術についての書き方を説明します。
プロジェクト単位で具体的に使用した技術を記述することは、職務経歴書において技術者や採用担当者があなたの経験を正確に評価する上で非常に有効です。以下は、各プロジェクトで使った技術を明確に示す詳細化された例です。
ここは キャリアの棚卸しリストの項目例 の項目6が該当しています。
これらの詳細な記述は、あなたが各プロジェクトでどのような技術を使って、どのような課題に取り組んだのかを明確に伝えます。技術スタックの一致を評価する際、具体的なプロジェクト経験を示すことで、応募先企業があなたのスキルセットとそのプロジェクトでの適合性を容易に理解できます。
続いて次のセクションではチーム構成・人員数の項目についての書き方を説明します。
人員数に関する記述をより詳細に具体的に展開することで、職務経歴書におけるあなたのチームワークとプロジェクト管理能力を採用担当者や技術者に明確に示すことができます。以下は、異なるプロジェクトで関わったチームの人員数に焦点を当てた詳細化された記述例です。
ここは キャリアの棚卸しリストの項目例 の項目7が該当しています。
このように、プロジェクトごとに人員数を具体的に記述することで、あなたがどのような規模のプロジェクトやチーム環境で働いてきたかを示すことができます。これにより、採用担当者や技術者は、あなたのチームでの協働能力、リーダーシップ、自己管理能力などをより正確に評価することが可能になります。
次のセクションでは役割についての書き方を説明していきます。
職務経歴書における「役割」セクションを詳細化し、具体化することで、あなたのキャリアパスと成長を示すことができます。以下は、異なるプロジェクトでの役割に焦点を当てた詳細化された記述例です。
ここは キャリアの棚卸しリストの項目例 の項目8が該当しています。
これらの役割に関する記述は、プロジェクトごとにあなたが担当した職務範囲とリーダーシップのレベルを具体的に示しています。技術者や採用担当者は、これらの情報からあなたの技術的深度やマネジメント能力、プロジェクト遂行能力を推測し、応募先企業における適切なポジションを判断することができます。スペシャリストとしての経験や、テックリードやエンジニアリングマネージャーとしての経験は、キャリアの多様性と成長の証として価値があります。
次のセクションでは期間について説明します。
経験期間は、単にプロジェクトに費やした月数や年数を超えた深い意味を持ちます。それは、特定の技術や業務領域におけるあなたの熟練度、学習能力、および適応性の指標となるからです。経験期間の長さは、技術的な深みと専門知識の範囲、複雑な課題に取り組む能力、そしてチーム内での信頼性を反映します。特に、同一領域や技術スタックでの長期間の経験は、その分野における深い理解と専門性を示唆します。
一方で、短期間に多様なプロジェクトを経験していることは、迅速な学習能力、高い適応性、そして新しい環境や技術への柔軟な対応を表します。このような経験は、特に技術が急速に進化する業界や、多岐にわたるプロジェクトを扱う企業において、大きな価値を持ちます。
長期プロジェクトに携わっている場合、それはあなたが一つの分野で深い専門知識を培い、複雑な問題解決に取り組む能力を持っていることを意味します。長期間にわたるプロジェクト経験は、プロジェクトの様々な段階を理解し、始めから終わりまでを見通せる力があることを示します。これは、プロジェクトの計画、実行、そして成功への導き方を知っている証拠です。
短期間でのプロジェクト経験が多い場合、それは多様な技術的課題に迅速に対応し、新しい環境に素早く適応できる能力があることを示しています。このような経験は、特にスタートアップやイノベーションを求める企業において、あなたの柔軟性と速い学習曲線を強調します。
従って、経験期間は、あなたが技術的に成熟しているだけでなく、異なる環境や新しい技術に適応できる柔軟性も持っていることを示す重要なバロメータです。これは、プロジェクトの複雑さやチームのダイナミクスを理解し、それに応じて効果的に貢献できる能力の証となります。職務経歴書において、経験期間を通じてこれらの要素を強調することで、潜在的な雇用主に対して、あなたが持つ多面的な価値を明確に示すことができます。
本記事では職務経歴書の作り方を説明しました。転職するときに企業側に提出するもう一つの大切な書類は履歴書です。その作り方を次の記事で説明しています。
履歴書と職務経歴書の準備が済んでいる方は、転職エージェントのサポートを得て転職活動を開始するために転職支援サイトの登録作業へと移りましょう。このプロセスでも留意すべき点があるため下記の記事でそれを説明しました。
本サイトの記事を読んだり、またはご自身でこれまでに既に転職準備していたなどで転職エージェントに会う準備が整っている方は、転職エージェントに会うために転職支援サイトの登録を進めましょう!
こちらの 【20~30代向け】経験3年以上のITエンジニアが転職にレバテックキャリアを使うべき理由 ではIT領域に詳しい転職エージェントをご紹介しています!